- Concept -

PE

PE(ぺ)シリーズは、工業的な素材にクラフトの技法でアプローチすることをコンセプトにした、ポリエチレン素材のプロダクトシリーズです。
京都を拠点に活動するクラフトデザイナー佐藤 延弘(Sato Nobuhiro)一人による一貫した手仕事によって、製品が一つひとつ作られていきます。
ブランド名のPEは、素材となるポリエチレン(polyethylene)の材料略表記 "PE"を、ローマ字の発音に読み替え「ペ」と発音します。


製品の元となる素材は、ホームセンターやスーパーマーケットでゴミ袋などの日用品として市販されている既製品のポリエチレン袋です。量産品として日々私たちの生活で消費されていく素材から製品が作られます。
製作方法には、シンプル且つ独自な技法を用いています。

 

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製作の道具は「手持ちの電気アイロン」です。衣服にアイロンを掛けるように、ポリエチレン袋にアイロンを掛けていきます。袋をゆっくりと融かし、時間をかけて何層にも重ね合わせていくことで、袋状のフィルムが形状を変え、独特な素材感を持ったポリエチレンのプロダクトへと生まれ変わっていきます。
袋を重ねるタイミングや、アイロンの温度や圧力、アイロンの動かし方などで製品の仕上がりが大きく変わるため、作り手の持つ繊細な「感」が一つひとつの製品に反映されます。現時点では、品質を統一するために、製作の全行程を佐藤一人が行っています。
熱による縮みや融けた凹凸などの独特な手触りと表情が魅力となり、ポリエチレンプラスチック特有の光沢感や発色、防水性や耐油性、軽さも特徴です。過度な装飾を一切加えず、素材そのものを際立たせるシンプルなデザインに仕上げています。

 

PE

 

 

 

材料について

 

PE

 

PEの材料には、一般量販店などで購入できる未使用のポリエチレン袋を使用しています。 主に、厚み0.024〜0.04mmのカラーフィルムで加工されている袋で、柔らかい性質を持った低密度ポリエチレン(LDPE)で作られたものを使用します。 PE製品は大量生産を目的としていないため、材料を工場で特別に製造することはせず、日常生活の中で入手可能な「量産され続ける既製品」を材料にしています。 また、一般家庭にある"電気アイロン"を道具にすることで、材料の入手から製作までを日常の生活の中で行えることを考えています。大掛かりな設備や材料の生産ロスをなくし、身近なモノづくりになることを試みました。 ポリエチレンは熱加工時や焼却時に有毒なガスなどが発生しない特徴があります。

 

ポリエチレン

 

 

技法について
ポリエチレンは、低い温度で軟化し、電気アイロンの熱で容易に加工することが出来ます。温度調節やプレスすることで、フィルムの表情を様々に変化させることができ、また素材どうしを溶着・接合することができます。その性質を生かし、生地作りからパーツの成形、接合、仕上げまでを、数種の電気ゴテを使い分けて手作業で加工していきます。

 


 

素材作りについて
ポリエチレン袋を積層させて、電気アイロンの熱と圧力をゆっくりと加えていきます。 この行程を繰り返し調整することで、製品に必要な素材(フィルム状・シート状・板状)を作ります。 重ねる枚数を変えることで厚みや固さを調整し、電気ゴテの温度・動かし方・圧の掛け方などで縮みやシワ・凹凸を変化させていきます。繰り返し鍛錬された作り手の「感覚」から独特な表情と手触りを持つ素材が作られます。

 

 

特に、フラットバッグなどの持ち手と本体をつなぐパーツには、厚みと強度、適度な柔軟性が必要とされるため、厚み0.024〜0.04mmのフィルムを最大64層まで積層させ約2ミリの板状の素材に加工したものを使用しています。また、バッグの本体生地には、クッション性が高まるように、気泡緩衝材のような空気の層をとじこめたシワのある凹凸生地に仕上げています。素材が薄いフィルムの積層で作られているため、製品は軽い仕上がりになっているのも特徴です。

 

PE

 

PE

 

 

 

成形について
生地の素材作りだけでなく、パーツの加工から組み立てまで、成形工程の全てを熱加工で行います。 レールファスナーの接合に小型のヒートシーラー機を用いる以外、パーツの接合・本体の組み立てでは小型の電気アイロンを用いています。手仕事にこだわることで、機械の加工跡とは異なる繊細なディテール表現を可能にしています。

 

 

 

 

カラーについて
材料に用いる袋色が製品色として仕上がりますが、フィルムを重ねる程に色も濃く深い色合いに仕上がります。透明の袋から作る「フロスト」色は、PEのコンセプトを最もシンプルに表現したカラーで、白濁した透け感のある素材に仕上がり、シワの光の反射が美しく浮遊感のある印象を楽しむことができます。それ以外にも、「ゴールド」には独特な光沢感、「イエロー」「スカイブルー」「ライトオレンジ」など鮮やかな色にはプラスチック特有のケミカルな雰囲気、「ブルー」「オレンジ」にはフィルムの重なりによる奥深い色合があり、カラーによっても異なる世界観を持っています。

 

 

 

ぺのモノづくりへの思い
モノの量産化と生産の効率化が進む中、たくさんの人に同じ品質で良いものを、速いスピードで届けられるようになってきました。ですが、PEは一人の作り手から生み出されるハンドメイドのプロダクトにこだわり、限られた数量を一つひとつ製作し、ゆっくりとしたスピードでお届けする方法を選択しました。時代の流れとのギャップやお客様にお待ち頂く時間の心苦しさを感じながらも、一人のモノづくりの感覚からでしか生み出せないモノの価値もあることを信じ、一つひとつ確実にお届けできる方法を模索しながら進んでいきたいと考えています。 量産品や機械製造とは異なるアプローチか生まれる、手工芸からみたポリエチレンの豊かな魅力をお楽しみ頂けたらと思います。

 

PE